須磨の関有明の空になく千鳥かたぶく月はなれも悲しき(藤原俊成)

「千鳥」と聞いてその姿を想起できるだろうか? 難儀する場合ネット検索してみよう、もれなく某お笑い芸人が一面にヒットする。閑話休題、千鳥は主に浜辺に生息する小型の渡り鳥であるが、実のところその名が示すとおり「千」つまり沢山群れをなしている鳥諸々を「千鳥」と、歌人たちは理解していた。千鳥は古く万葉集にも登場し、多くはその体で詠まれている。さて今日の歌、有明の空を彷徨う千鳥と落ちてゆく月影、『ああ、お前も悲しいのか…』。俊成は風景にもれなく心象を重ねた、この匂い立つ感情を「幽玄」という。

(日めくりめく一首)

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