雪ふれば冬ごもりせる草も木も春に知られぬ花ぞ咲きける(紀貫之)

さて、今日の歌ではまたもや雪が降っている。雪歌は一通り終えたのではと思うかもしれないが、今日よりの雪は以前のそれではない。『草や木々が冬ごもりしている折、雪が降って春も知らない花が咲いた!』。春を慕うばかり、詠み人の目には雪が雪と見えない。花! 草も木も萎れたままであるが、チラチラと目に映る白いものは春の花に違いない。恐るべき妄想、いやそんなことは百も承知で雪を花と見る。春を望む心こそ、歌人に最も大切なマインドなのだ。

(日めくりめく一首)

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