雪ながら山もとかすむゆふべかな ゆく水とほく梅にほふ里(宗祇、肖柏)

後鳥羽院は水無瀬に離宮を設け、詩歌管弦にふけった。藤原良経、定家なども参加した「水無瀬恋十五首歌合」などは有名である。院は亡き後その地に祀られ、離宮は水無瀬神宮と変わり今に面影を伝えている。さて今日の歌は1488年、院の月命日の奉納のため、宗祇とその弟子肖柏、宗長が巻き上げた連歌百韻の発句および付句である。であるので、上句と下句はそれぞれ完結した一句としてご覧いただきたい。上句は連歌における「発句」だが、昨日ご紹介した後鳥羽院の完全なパクリ、もとい本歌取りである。そして下句は「付句」となり、梅の香にとおく昔に馳せる思いが添えられている。勅撰集の編纂が途絶えた後、和歌の風雅はこのような有心連歌に受け継がれていったのだ。

(日めくりめく一首)

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