逢ふことをいざ穂に出でなん篠薄しのび果つべき物ならなくに(藤原敦忠)

「月」はこれくらいしておいて、今日からは秋の七草をご紹介しよう。まずは「薄(すすき)」だ。ところで秋の月というと大抵セットで「薄」(おまけに団子)が登場してくるが、実のところ和歌で月と薄とが合わせて詠まれることはほとんどない。
さて、和歌で薄は詠むべきポイントが決まっている、「穂」だ。『逢うことがバレちまってもいい! 篠薄だって忍びきれないのだから』と、このように忍びきれない恋心が「穂に出づる」という詠み方をする。しかしどうしても隠し切れないとしても、何とか忍び隠すのが普通の歌人であるが、「出てこいや!」と挑発的なのはさすが業平と張るプレイボーイ藤原敦忠である。

(日めくりめく一首)

和歌の型(基礎)を学び、詠んでみよう!

代表的な古典作品に学び、一人ひとりが伝統的「和歌」を詠めるようになることを目標とした「歌塾」開催中!

季刊誌「和歌文芸」
令和六年冬号(Amazonにて販売中)