見ぬひとによそへてみつる梅の花散りなむのちのなぐさめぞなき(藤原定頼)

親父がすごければ、二世もすごい! といかないのが世の習いだ。かの大納言公任は偉大な古典を遺したが、その長子定頼が伝えたものといえばチャラ男のお戯れエピソードくらい。周知は百人一首の六十番「大江山※」だろう、小式部内侍にピシャリとやられたの男がこの定頼なのだ。今日の歌もそれに通じる。相手は大弐三位、母はあの紫式部だ。『最近来てくれないから、あなたの代りとして梅の花を眺めていました。これが散ってしまったら絶望しちゃうなぁボク』と、甘えてみせる。対する女の返事やいかに!? それは明日の歌でご紹介しよう。

※「大江山いくのの道の遠ければまだふみもみず天橋立」(小式部内侍)

(日めくりめく一首)

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