梅がえに心もゆきて重なるを知らで人のとへといふらん(源俊頼)

俊頼は白梅の「折り枝」を受け取った、ウブな誘い文句をいじらしく思う。『梅の枝に重なる「雪」のように、私のこころはあなたのもとは「行(ゆ)き」、いくえにも重なっていることを知らないのですか?』。男は自分の愛情の方がまさっていると、熱烈なラブメッセージで応酬した。
昨日に続いてもう一度言おう、これは藤原俊忠と源俊頼というオッサン同士の贈答歌なのである。親しさをとおり越して、なんだか怪しい。それにしても、である。俊頼といえば金葉集の編纂を成した当代一の歌人。一方の俊忠も俊成、定家の祖であるから推して知るべし。この有力歌人同士の睦まじさに、和歌とはごくごく狭い世界で育まれてきたのだと、つくづく実感する。

(日めくりめく一首)

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