朝日さす氷のうへの薄煙りまだ晴れやらぬ淀の川岸(藤原良経)

「冬はつとめて」とはご高名な文句だが、これは平安貴族誰しもの共通理解であったのだろう。今日の歌も厳寒の早朝の美しさが描かれている。『朝日が射し込む氷の上に煙が立っている、まだ陽が昇ったばかりの淀の川岸に』。ちなみにこの煙を気象用語では「蒸気霧」と呼ぶ、「けあらし」は北海道の方言であるそうだ。それにつけても恐れ入る、確かに歌も美しいがそれ以上に玉葉集の審美眼だ。今日の風景もまことに玉葉好みである。

(日めくりめく一首)

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