早瀬川みを遡る鵜飼舟まづこの世にもいかが苦しき(崇徳院)

『早瀬川を遡る鵜飼舟よ、お前はただでさえ地獄が待っているのに、まずこの現世はどれほど苦しいものなのか』。どうしてこのような解釈になるのか、能の「鵜飼」に詳しいが、ようするに鵜飼とは殺生のカルマを負っているため地獄へ堕ちる定めなのだ。にもかかわらず、現世においても激流の川を上る、その苦しみとはいかほどか。作者が鵜飼に寄せるのは同情より驚嘆! 自ら四苦八苦を求めるような生業の恐ろしさだ。今でも鵜飼は夏の風物詩だが、法華経の目を通すと罪は重い。芭蕉の歌にもそれが横たわっている。※

※「おもしろうてやがて悲しき鵜舟哉」(松尾芭蕉)

和歌の型(基礎)を学び、詠んでみよう!

代表的な古典作品に学び、一人ひとりが伝統的「和歌」を詠めるようになることを目標とした「歌塾」開催中!

季刊誌「和歌文芸」
令和六年冬号(Amazonにて販売中)