岩間もる清水を宿に堰きとめてほかより夏を過ぐしつるかな(俊恵)

納涼の手段はいろいろあれど、海水浴にプールやはり定番は水遊びで間違いない。それは昔もおんなじで、和歌でも晩夏のころには「水」にちなんだものが詠まれる。『岩の間から漏れた湧き水を、ちゃっかり俺んち家へ流れるように堰き止めて、涼しい夏を過ごしてます(笑)』。まさに我田引水であるが、嫌味がないのは詠み人が俊恵であるからだろう。俊恵と言えば父はかの大歌人源俊頼、恵まれた家筋に生まれながら早々に出家、白川に歌林苑という庵を結び悠々自適に暮らした。今日の歌は隠者に相応しい一首である。

(日めくりめく一首)

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