山里は冬ぞ寂しさまさりける人めも草もかれぬと思へば(源宗于)

昨日一昨日とご紹介した立冬の歌、確かに冬に対する嫌悪感はあったが和歌らしい風情、自然への観入も十分感じられた。しかし今日の一首である、『山里は冬になると寂しさが極まるよね、なぜって人の出入りも草も「かれる」ってんだから!』。言うまでもなく「かれ」は「離れ」と「枯れ」の掛詞になっていて、このダジャレを言わんがための歌である。おそらく作者はどや顔でこの歌を披露したに違いない。滑稽味の強い歌ではあるが、評価して定家は百人一首にも撰んでいる。確かに言葉遊びこそ、三代集の特徴であり和歌の本分であるが。

(日めくりめく一首)

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