山びこのこたふる山のホトトギス一声鳴けば二声ぞ聞く(能因)

三代集のあと、千載集までの「後拾遺」「金葉」「詞花」の評価は比較的に総じて低い。例えば俊成などに言わせるとこうである「ひとへにをかしき風体なりけん」。撰者には長高い歌を理想とした源俊頼や博識で通じた藤原顕輔が務めたにもかかわらずこうである。ただこれらの時期を経たからこそ千載や新古今が生まれたのも事実、決して見逃すこともできない。
さて今日の歌であるが、期待に叶う。『ホトトギスが一声鳴くとこだまが返って二声聞こえる』。狂歌まがいの驚くべき一首であるが、宴会の座興としは最高に盛り上がりそうだ。

(日めくりめく一首)

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