女郎花影を映せば心なき水も色なるものにぞありける(藤原頼宗)

和歌で特に好まれる色、それは雪月花に代表される「白」だ。次点は「青」そして「緑」あたりだろう、実のところ「黄色」なんてのはあまり人気がない。だから春の「山吹」、秋の「女郎花」などは貴重な黄色い風景なのだ。今日の歌は、女郎花が川面に写り黄色に染まる妙を描いたものだが、暗喩も多分に含んでいよう。そんなつもりは毛頭なかったがどうやら染まっていたらしい、我が恋心よ。詠み人の藤原頼宗はほとんど知られていないが、時めく藤原道長の次男であの大弐三位や小式部内侍らとも浮名を流した色男だ。

(日めくりめく一首)

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