願はくば花のもとにて春死なむその如月の望月のころ(西行)

今日は旧暦の2月15日【春分】
よみ人:西行 、所収:新古今和歌集

歌というものは時として、「いかに詠んだか」よりも「だれが詠んだか」の方が重要になる。『願わくば桜の下で死にたい。花咲き初める二月の満月の桜の木の下で』。桜と満月の取り合わせに、今の人は理想的な美の風景を思うかもしれない。しかし、伝統的な和歌でこれらを合わせて詠むことはない。過剰なのだ! 盆と正月、寿司とステーキ、山盛りの宝石!!  今日の歌は優雅を遥かに超えて下品なのである。しかしこれが許される場合がある、詠み人だ。まあご存知だとは思うが西行である。西行は花と月という色の極みを求めて仏の道を歩んだ、支離滅裂、むちゃくちゃである。その人だからこそ成り立つ一首、稀代の作品だ。今日今宵はまさに如月(旧暦二月)の望月、隈なき月下の桜に出会えたら、彼の狂気を一寸感じられるかもしれない。

(日めくりめく一首)

→「令和歌合せ(卯月の会)」4/28(日)9:50~11:50