袖ぬるる露のゆかりと思ふにもなほ疎まれぬ大和撫子(藤壺)

今日は旧暦の6月2日
よみ人:藤壺 、所収:源氏物語(第七帖 紅葉賀)

源氏の贈答歌には、不義の罪業を共にせんとの嘆願がみえた。藤壺はこれにどう答えたか? 以前にも少し触れたが今日の歌、古註論争に事欠かない。初句「袖ぬるる」の主体を藤壺とみるか源氏とみるか、四句「なほうとまれぬ」を「打消」とみるか「完了」とみるか、これら組み合わせによって少なくとも4つの解釈が成り立つからだ。ただ答えは決まっていよう、『袖を濡らしてらっしゃるあなた(源氏)の縁と思うにつけて、やはり憎らしく思われる大和撫子(若宮)よ』。源氏にとっては一夜の過ちであったかもしれない、しかし藤壺には三世に渡る大罪であったのだ。二度と関係を持つまいと、藤壺は源氏を生涯遠ざけた。一緒に泣いて慰め合うなんて、そんな思いさらさらなかったのである。源氏物語という怪物の凄みはこの一首で十分想像できるというものだ。

(日めくりめく一首)

→令和の古今伝授(和歌を詠み書くための会、神無月)10/27(日)9:50~11:50