衣手は寒くもあらねど月影をたまらぬ秋の雪とこそ見れ(紀貫之)

今日は旧暦の8月23日
よみ人:紀貫之 、所収:後撰和歌集

昨日のがいかにも定家だとしたら、今日のはいかにも貫之だ。『着物の袖は寒くないけど、月の光は積もらない秋の雪のように見える』。白々とした月明かりを雪に見立てる古今的常套句、「衣手は寒くあらねど」という理知的発想が甚だわざとらしく、ある意味心底から身震を感じる歌だ。しかしこれも和歌の一面、要するに和歌的プロトコルを正しく踏めば、誰でも一定水準の歌を詠めるということ。今日の歌だって、宴会で求められて即興的に詠んだものかもしれない。

(日めくりめく一首)

→令和の古今伝授(和歌を詠み書くための会、神無月)10/27(日)9:50~11:50