花散れる水のまにまにとめくれば山には春もなくなりにけり(清原深養父)

花が散って川面を群れて流れるのを「花筏」という、なんとも美しいネーミングだが、それが本当に美しいかは疑わしい。両岸をコンクールに囲まれた川、例えば神田川などは台無しでむしろ花が辱めを受けているようだ。ちなみに「ハナイカダ」という低木の野草があるが、こちらは葉の真ん中あたりに小さい花が咲いてとても愛らしい。
さて、今日の歌は川を流れる方の花を詠んだものだ。作者は思った、川を流れ来るこの花びらはどこからやって来るのだろう。そして作者は行動した、流れのまま春の名残を求めて。たどり着いた先は… そう何もなかった。花は全て散り落ちて、もはや春はなくなっていたのだ。清原深養父、渾身の名歌である。

(日めくりめく一首)

→令和の古今伝授(和歌を詠み書くための会、神無月)10/27(日)9:50~11:50