花の上にしばしうつろふ夕づく日入るともなしに影きえにけり(永福門院)

今日は旧暦の3月2日
よみ人:永福門院 、所収:玉葉和歌集

これぞ京極派! というべき手本のような歌だ。『桜の花びら、そのうえにやわらかく夕日が差す。それは束の間、日は瞬く暮れてその影は消えてしまった』。微妙で繊細、京極派が歌わなければだれも気づかなかったような美。これを行き詰まりのトリビアリズムと蔑むか? 私はそうは思わない。なぜなら心に訴える匂い、光そして余情を宿している。単なる写実歌ではこうはいかない、穏やかにかつ激しく美を望んだものだけが得られる極致だ。そしてこの歌にある優しさの裏にある儚さは、桜の終わりを静かに予感させる。

(日めくりめく一首)

→「ろっこの和歌Bar(7月の夜会)」7/24(水)19:30~22:00