梅の花にほひをうつす袖の上に軒もる月の影ぞあらそふ(藤原定家)

今日は旧暦の1月26日
よみ人:藤原定家 、所収:新古今和歌集

これまでの梅歌をつうじて、「花」から「匂い」そして「袖」との関係がご理解いただけたと思う。和歌ではひとつのモチーフに対し、それがもっとも美しく映える場面が規定されているのだ。梅は先の件であり、桜の場合は散り様がそれとなる。つまりこの規定さえ順守すれば、おおよそ最低限の歌は詠めるということになる。これは野暮にとっては便利なアンチョコであり、風雅の人には超えるべき前提である。今日の歌はどうだろう、袖はかわらず梅が香っている。だがそれは争っている、わずかに漏れた月影と激しく競い合っている。いずれが美の支配者であるかを。作者は藤原定家、これぞ新古今歌の白眉である。

(日めくりめく一首)

→「令和歌合せ(卯月の会)」4/28(日)9:50~11:50