忘れめや葵を草にひき結びかりねの野辺の露のあけぼの(式子内親王)

今日は旧暦の4月15日
よみ人:式子内親王 、所収:新古今和歌集

今日までの葵歌でこれが「逢う日」に掛かり、また御神紋である「賀茂神社」と縁が深いことがお分かり頂けただろう。ところで賀茂神社といえば、和歌ファンであれば彼女を思い起こさずにいられない、「式子内親王」だ。
式子は十代の多感な時期をまるっと10年間、賀茂斎院として神に仕えた。退下の後は婚姻しても構わないが、彼女は生涯独身であった。ゆえに式子内親王といえば何やら沈鬱で影の漂う女性のように理解されている、しかしはたしてそうであったか? 実のところ斎院は風雅なサロンであったし、藤原俊成師事して歌に熱烈打ち込んでいる。今日の歌を見よ、暗いどころか目を開けられないくらい眩い。葵を草枕として引き結んで旅寝した野辺の、露のおいた野辺の朝日。それは決して忘れることのない、幸福な少女の青春。初句五文字をもってそれが十分に理解される。

(日めくりめく一首)

→「令和の歌合せ(皐月の会)」5/26(日)10:00~12:00