夕まぐれ荻ふく風の音きけば袂よりこそ露は壊るれ(藤原季経)

今日は旧暦の7月28日
よみ人:藤原季経 、所収:千載和歌集

昨日ひとつの問題提起を行った。お約束ばかりの個性なき文芸、伝統的和歌に如何なる価値があるのか、と。私の見解を述べよう、実は芸術など表現活動全般に個性を求めることこそ、現代人が抱える思考停止の固定観念なのだ。和歌はそもそも個性など求めていない、和歌とは折々の自然そして古の歌人達と心を合わせ安寧を求める衝動なのだ、美という対話手段を通じて。確かに新古今など、個性的な歌が隆盛した時代もあった。しかしこれも他者との差別化を意図したものでなく、ひとえに積もりに積もった憧憬のカンブリア爆発であった。
今日の詠み人は藤原季経、歌壇史上は俊成率いる御子左家に止めを刺された哀れな歌人であるが、夕暮れの荻に寄せる感動は人一倍である。

(日めくりめく一首)

→令和の古今伝授(和歌を詠み書くための会、神無月)10/27(日)9:50~11:50