わが宿の梢の夏になるときは生駒の山ぞ見えずなりぬる(能因)

今日は旧暦の4月20日
よみ人:能因 、所収:後拾遺和歌集

これまた才気に富んだおもしろい歌だ。『梢が夏になると山が見えなくなる』とは、葉が繁って風景を遮っているためで、趣旨としてはそれだけ夏らしくなってきたということだ。ちなみに「生駒山」は「夏になる(成る)」の縁語によって導かれていると思われる。将棋は最も古くて天喜六年(1058年)のものが興福寺境内から発掘されているから、まあその筋で間違いないだろう。
詠み人は初代流浪の歌人というべき能因法師であるが、ともかく西行をはじめ遍照、素性など、このような数寄の戯れのような歌をさらっと詠めるのは俗世を離れた出家者でないとなせぬ技のようだ。

(日めくりめく一首)

→秋の和歌文化祭 11/10(日)9:30~16:30