なに人かきて脱ぎ掛けし藤袴くる秋ごとに野辺を匂はす(藤原敏行)

今日は旧暦の9月1日
よみ人:藤原敏行 、所収:古今和歌集

和歌に登場する景物はその類型化が徹底している。これまでご紹介した「女郎花」や「薄」などによっても、それが如実に分かったはずだ。「藤袴」の場合、名前と特徴がそれを決めている、つまり着物の「袴」とポプリにした強い「芳香」を詠むのが常套なのだ。『だれが来て(着て)脱いでいった袴(藤袴)だろう、毎年秋になると野辺を匂わす』。「袴」と「匂い」とを見事に両方詠み込んだ、まさに教科書のような一首だ。いったい誰の仕事だろうと思えばやはり直球男の藤原敏行であるが、むしろ敏行こそが教科書を作ったとも言える。

(日めくりめく一首)

→令和の古今伝授(和歌を詠み書くための会、神無月)10/27(日)9:50~11:50