あはれてふことを数多にやらじとや春に遅れてひとりさくらむ(紀利貞)

今日は旧暦の4月7日
よみ人:紀利貞 、所収:古今和歌集

立夏を過ぎて季節は変わったはず、だった。しかし昨日までの更衣数首をみて分かるように、いつまでも湿っぽく「春」を詠みこんで花を忘れられないでいる。極め付きは今日の歌だ。『感嘆を独占しようと、ひとつこの桜は遅れて咲いたのだろうか?』。時季外れに遅れて咲いた桜、それを目にした驚きと感動をしつこく歌う。しかし夏に春を詠む後ろめたさがあったのだろう、「咲くらむ」に掛詞で「桜」を間接的に詠みこんでいる。なんともいやらしいやり口ではないか! そろそろ気持ちをからっと夏に切り替えてほしいものだ。

(日めくりめく一首)

→「令和の歌合せ(皐月の会)」5/26(日)10:00~12:00