夏を書く「竹の奥」

「枝に漏る朝日の影の少なさに涼しさ深き竹の奥かな」(京極為兼) 「竹林」、今や日本美の典型であるが、これの成立は案外新しい。それこそ玉葉集ひいては京極為兼の功績と言えよう。「歳寒三友」をご存じだろうか、中国文人画では寒き...

夏を書く「五月雨」

「五月雨の空だにすめる月影に涙の雨は晴るる間もなし」(赤染衛門) 『雨は上がり、空には清らに澄んだ月が浮かぶ。しかし私はの気持ちは晴れることなく、変わらず泣き続けています』。五月雨の恋であるが昨日の躬恒より幾分優れていよ...

夏を書く「杜若」

「唐衣きつつなれにしつましあればはるばるきぬる旅をしぞ思ふ」(在原業平) いずれ菖蒲か杜若というが、和歌でこのふたつを見分けるのは易しい。実のところ和歌に詠まれる菖蒲はいわゆる「花菖蒲」ではなく「根菖蒲」であるため、違い...

夏を書く「短夜」

「まだ宵の月待つとても明けにけり短き夢の結ぶともなく」   (後鳥羽院) 『日暮れの月を待っていたのに、あれよという間に夜は明けてしまった。短い夢を見ることもなく』。夏の短夜の歌であるが、終始恋の匂いが漂っている。月は男...