【百人一首の物語】七番「天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山に出でし月かも」(阿倍仲麻呂)

七番「天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山に出でし月かも」(阿倍仲麻呂) 百人一首のなかでもいや真砂のごとき和歌にあって、これほど愛唱される歌はないだろう、七番「天の原」である。 作者仲麻呂はあらためて説明するまでもない...

【百人一首の物語】六番「かささぎの渡せる橋におく霜の白きをみれば夜ぞふけにける」(大伴家持)

六番「かささぎの渡せる橋におく霜の白きをみれば夜ぞふけにける」(大伴家持) 大伴家持といえばその歌が万葉集に四百七十首ほど採られ、実質的な編纂者と目される人物。政治家としては受難の道を歩んだが、歌人として万葉の草々を文芸...

【百人一首の物語】五番「奥山に紅葉ふみわけ鳴く鹿の声きく時ぞ秋はかなしき」(猿丸太夫)

五番「奥山に紅葉ふみわけ鳴く鹿の声きく時ぞ秋はかなしき」(猿丸太夫) 百人一首に深刻な撰歌不審を招いた要因のひとつが、正体不明歌人の存在だろう。天智・持統天皇に始まり、歌聖人麻呂、赤人と流麗にながれてきたものが突然、猿丸...

【百人一首の物語】四番「田子の浦にうち出てみれば白妙の富士の高嶺に雪はふりつつ」(山部赤人)

四番「田子の浦にうち出てみれば白妙の富士の高嶺に雪はふりつつ」(山部赤人) 唐詩では杜甫を「詩聖」と称えますが、和歌でも歌の聖(ひじり)といわれる方がいます。だれあろう三番柿本人麻呂と四番山部赤人のご両名で、大伴家持にし...

【百人一首の物語】三番「あしひきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む」(柿本人麻呂)

三番「あしひきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む」(柿本人麻呂) 平安王朝の物語といえる百人一首を章立てした場合、冒頭から十二番まではさしずめ「王朝の幕開けと伝説歌人」と呼べるでしょう。その伝説中の伝説、...

【百人一首の物語】二番「春すぎて夏来にけらし白妙の衣ほすてふ天の香具山」(持統天皇)

二番「春すぎて夏来にけらし白妙の衣ほすてふ天の香具山」(持統天皇) 持統天皇はご存知のとおり天智天皇の娘です。叔父である天武天皇の妃となり草壁皇子を生みました。 じつのところ天智・持統のように百人一首には親子がなんと十八...

【百人一首の物語】一番「秋の田のかりほの庵の苫をあらみわが衣手は露にぬれつつ」(天智天皇)

一番「秋の田のかりほの庵の苫をあらみわが衣手は露にぬれつつ」(天智天皇) 一番歌に天智天皇を据えた、ここに百人一首という百首歌の編纂目的がおのずとみて取れます。それは端的に「平安王朝の歴史物語の再現」です。 歌集というも...

実況! 六百番歌合「枯野 十三番」~源氏見ざる歌詠みは遺恨の事なり~

時は建久五年(1194年)、左大将良経主催による歴史歴な歌合せが行われた。世にいう「六百番歌合」である。これはその模様を和歌DJうっちーの解説のもと、面白おかしく実況しようという試みである。 実況:六百番歌合せは知らなく...

実況! 六百番歌合「余寒 十二番」~俊成の絶賛~

時は建久五年(1194年)、左大将良経主催による歴史歴な歌合せが行われた。世にいう「六百番歌合」である。これはその模様を和歌DJうっちーの解説のもと、面白おかしく実況しようという試みである。 実況:六百番歌合せにおける、...

実況! 六百番歌合「余寒 四番」~俊成の公平中立~

時は建久五年(1194年)、左大将良経主催による歴史歴な歌合せが行われた。世にいう「六百番歌合」である。これはその模様を和歌DJうっちーの解説のもと、面白おかしく実況しようという試みである。 実況:DJうっちー、次は?D...

実況! 六百番歌合「元日宴 五番」~俊成の気迫~

時は建久五年(1194年)、左大将良経主催による歴史歴な歌合せが行われた。世にいう「六百番歌合」である。これはその模様を和歌DJうっちーの解説のもと、面白おかしく実況しようという試みである。 実況:さあ、次いきましょう。...

としよりは斯く語りき「神祇のおもしろエピソード」~和歌中級者におくる至言~

むかし、としよりはこのように語った… なんかワシの話がつまらんというような顔をしとるのお。しょうがない、今日はちょっと面白い歌を紹介してやろう。神祇の歌じゃ。 「近江なる筑摩の祭りとくせなむつれなき人の鍋の数見む」 知っ...

実況! 六百番歌合「元日宴 一番」~俊成の宣言~

実況:さあついに六百番歌合の火蓋が切って落とされました。まずは左方よりぃぃ!!!DJ:しっ! しずかにしてください。実況:ん?DJ:披講が始まります。「講師」が歌を詠みあげるのです。ちなみに隣に控えているのは「読師」です...

実況! 六百番歌合「選手入場」~俊成立つ~

時は建久五年(1194年)、左大将良経主催による歴史歴な歌合せが行われた。世にいう「六百番歌合」である。これはその模様を和歌DJうっちーの解説のもと、面白おかしく実況しようという試みである。 実況:さてまず赤コーナーから...