ひき別れとしはふれどもうぐひすの巣たちしまつのねを忘れめや(明石の姫君)

昨日ご紹介した歌は母(明石の君)からの贈答歌であったが、これはその娘(明石の姫君)からの返歌である。ちなみに両歌とも主題は「まつ(松と待つ)」である。よって縁語として「引く」が得られるのだが、これは当時の貴族が年始の初子...

年月をまつにひかれてふる人にけふうくひすの初音きかせよ(明石の君)

初音といえばミクだろう、まったく同意する。しかし、こと古典に至っては違うものを連想しなければならない。それが源氏物語で詠まれたこの「うぐいすの初音」歌である。春を心待ちにする歌の裏に、出自の貧しさゆえに実の娘に合うことが...

いづる日のおなじひかりによもの海のなみにもけふや春はたつらむ(藤原定家)

なるほど、凡作である。波と春が「立つ」という、“立春歌あるある”で構成された、ほとんど見どころがない歌である。しかしこの歌の作者はだれあろう、かの藤原定家卿なのだ。所収は初学百首、御大二十歳の作とはいえ、後の巧みな狂言綺...

ふる雪のみのしろころもうちきつつ春きにけりとおどろかれぬる(藤原敏行)

後撰和歌集の一番歌である。まず思うのが、華の一番歌をなぜに敏行が? である。私のつたない古典知識では、彼の歌人としての実績がさほど思いあたらない。だいたい「おどろかれぬる」なんていう、便利な言葉をを安易につかいまくってる...

あたらしき年のはじめにかくしこそ千歳をかねてたのしきをつめ(よみ人知らず)

お正月の歌である。なんで今の時期にといえば、今日が旧暦の元日であるからである。古今集の大歌所御歌であるが、「千歳」なんて気の利いたことばさえ知っていれば小学生でも詠めそうな歌である。ちなみに「たのしき」には(楽しき)と(...

年のうちに春はきにけりひととせを去年とやいはむ今年とやいはむ(在原元方)

初代勅撰和歌集「古今和歌集」の巻頭を飾る歌である。もしこれが歌集を象徴するその位置になければ、古今集いや古典和歌はもう少し輝きを残していたかもしれない。 『まだ年内なのに、もう春が来た。この一年を去年というべきか今年とい...

→「令和の歌合せ(皐月の会)」5/26(日)10:00~12:00