橘の匂ふあたりのうたたねは夢もむかしの袖の香ぞする(俊成卿女)

昔の人を思い出すという花橘の香り、嗅いだことがあるだろうか? 梅や菖蒲もそうであろう、確かにリアルな自然を経験していた方が歌の共感力は高まると思う。しかしそんなもんなくたって、いやかえってないほうが歌に陶酔できる場合があ...

五月待つ花橘の香をかけば昔の人の袖の香ぞする(よみ人知らず)

「花橘」が詠まれたこの歌、古典ファンであればそらんずる方も多かろう。古今集では題知らず、よみ人知らずで採られるが、伊勢では第六十段に「むかし男(業平)」の歌として物語が載る。詳細は出所に譲るが、女(元妻)が酒の肴に出した...

五月雨の空だにすめる月影に涙の雨は晴るる間もなし(赤染衛門)

『雨は上がり、空には清らに澄んだ月が浮かぶ。しかし私はの気持ちは晴れることなく、変わらず泣き続けています』。五月雨の恋であるが昨日の躬恒より幾分優れていよう、「五月雨」(みだれ)を響かせて、苦悶の女を間接的に描いている。...

五月雨に乱れそめにし我なれば人を恋路に濡れぬべらなり(凡河内躬恒)

『五月雨のように、あなたへの思いに乱れ始めた私は、小泥ならぬ恋路にはまってずぶ濡れです』。「五月雨」は「涙」の暗喩となり「乱れ」という言葉の響きも相まって恋の抒情を掻き立てる。しかし「五月雨」と「乱れ」の掛詞を私は見たこ...

【和歌マニア(第86回)】お茶と連歌「Tea Caravan」コラボ記念! 埜ノ風さまとお茶について語りました

来る6月30日、空の下でお茶と連歌を楽しむ「Tea Caravan」を開催します! そこで今回は「Tea Caravan」の主催者、埜ノ風さまのオフィスにお邪魔して、その成り立ちやお茶について伺ってきました。「私が死ぬま...