和歌マニア(第110回)学びなおしの和歌講座「散る紅葉と旅」

前回(109回)に続いて古今和歌集の「秋下」から「紅葉」が詠まれた歌をご紹介します。今回は「散る紅葉」に寄せる感情と、「紅葉と旅」の関係をお話ししました。そろそろ紅葉が色づくころですが、古典文学における紅葉もお楽しみくだ...

【百人一首の物語】八十番「長からむ心もしらず黒髪の乱れて今朝はものをこそ思へ」(待賢門院堀河)

八十番「長からむ心もしらず黒髪の乱れて今朝はものをこそ思へ」(待賢門院堀河) 作者の待賢門院堀河はその名が表すとおり、鳥羽天皇の中宮である待賢門院璋子に出仕した女房です。院政期の代表的な女流歌人で「久安百首」の作者にも名...

【百人一首の物語】七十九番「秋風にたなびく雲の絶え間よりもれ出づる月の影のさやけさ」(左京大夫顕輔)    

七十九番「秋風にたなびく雲の絶え間よりもれ出づる月の影のさやけさ」(左京大夫顕輔)     崇徳院歌壇の代表格が、この左京大夫顕輔こと藤原顕輔です。彼の家は「六条藤家」といって、父...

和歌マニア(第109回)学びなおしの和歌講座「紅葉」その色と名所を知る

古今和歌集の「秋下」から「紅葉」が詠まれた歌をご紹介します。今回はその前編として「紅葉の色が染まっていく様子」や「紅葉が詠まれた名所(佐保山、竜田川…)」をピックアップ! 紅葉狩りに行く前に、ぜひ紅葉のただしい鑑賞眼を養...

【百人一首の物語】七十八番「淡路嶋かよふ千鳥の鳴く声にいく夜寝覚ぬ須磨の関守」(源兼昌)

七十八番「淡路嶋かよふ千鳥の鳴く声にいく夜寝覚ぬ須磨の関守」(源兼昌) 七十六番から崇徳院歌壇ゆかりの歌人が採られ、顕輔、堀川らへと続いてくのですが、その中ほどにこの源兼昌が置かれているのは、ちょっと理解に苦しむ配列です...

歌塾 月次歌会(令和三年十月) 題「盛秋」、「夕暮れ」 ※判者評付き

歌塾は「現代の古典和歌」を詠むための学び舎です。初代勅撰集である古今和歌集を仰ぎ見て日々研鑽を磨き、月に一度折々の題を定めて歌を詠みあっています。 令和三年十月は以下の詠草が寄せられました。一部を抜粋してご紹介します。 ...

【百人一首の物語】七十七番「瀬をはやみ岩にせかるる滝川のわれても末にあはむとぞ思ふ」(崇徳院)

七十七番「瀬をはやみ岩にせかるる滝川のわれても末にあはむとぞ思ふ」(崇徳院) 平安末期の激動のそのど真ん中にいたのがこの崇徳院です。皇室、摂関家そして武家勢力入り乱れての内乱、「保元の乱(1156年)」で前の七十六番忠通...

【百人一首の物語】七十六番「わたの原こぎ出でてみればひさかたの雲居にまがふ沖つ白波」(法性寺入道前関白太政大臣)

七十六番「わたの原こぎ出でてみればひさかたの雲居にまがふ沖つ白波」(法性寺入道前関白太政大臣) 定家とはじつに意地の悪い人間のようです。前の七十五番でご紹介した“あはれな男”の次に、その当事者たるボスの藤原忠通(法性寺入...

【百人一首の物語】七十五番「契りおきしさせもが露を命にてあはれ今年の秋もいぬめり」(藤原基俊)

七十五番「契りおきしさせもが露を命にてあはれ今年の秋もいぬめり」(藤原基俊) 暮れゆく秋のわびしそうな情景が詠まれていますが、実のところこれは「秋(四季)」ではなく「雑」の歌です。この歌を理解するためには、採られた千載集...

【百人一首の物語】七十四番「憂かりける人を初瀬の山おろしよはげしかれとは祈らぬものを」(源俊頼朝臣)

七十四番「憂かりける人を初瀬の山おろしよはげしかれとは祈らぬものを」(源俊頼朝臣) 源俊頼は七十一番の源経信を父に持ち、子に八十五番の俊恵がいます。百人一首に親子ペアは相当数(18組)ありますが、親、子、孫と三代で採られ...

【百人一首の物語】七十三番「高砂の尾の上の桜さきにけり外山の霞たたずもあらなむ」(前権中納言匡房)

七十三番「高砂の尾の上の桜さきにけり外山の霞たたずもあらなむ」(前権中納言匡房)  「遠くの山に桜が咲いた、近くの山の霞よどうか立たないでおくれ」。 遠景の山の桜と近景の霞を対照させたいわゆる長高い歌、和歌らしい模範的な...

【百人一首の物語】七十二番「音に聞く高師の浜のあだ波はかけじや袖のぬれもこそすれ」(祐子内親王家紀伊)

七十二番「音に聞く高師の浜のあだ波はかけじや袖のぬれもこそすれ」(祐子内親王家紀伊) 詠み人は祐子内親王家紀伊、名前の冠が長いほど偉いのが男性でしたが、女房の場合はたんに所属が記されているだけです。ただ前代までは清少納言...

【百人一首の物語】七十一番「夕されば門田の稲葉おとづれて芦のまろやに秋風ぞふく」(大納言経信)

七十一番「夕されば門田の稲葉おとづれて芦のまろやに秋風ぞふく」(大納言経信) 前の七十番に続いて「秋の夕暮れ」の情景です、しかも同じく美しくて寂しい秋の夕暮れです。 「夕方になると門田の稲葉がそよそよと音を立てて、ああ、...