和歌所では、ML(メーリングリスト)で歌の交流をしています。
花鳥風月の題詠や日常の写実歌など、ジャンル不問で気の向くままに歌を詠み交わしています。
参加・退会は自由、どうぞお気軽にご参加ください。
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今月のピックアップ三首
「散りてなお桜さくらと歌にせばうなだれさみし白き小手毬」
「畦道に薫る蓬を摘みて来む田植え休みの餅やつくらむ」
「水鏡身の浮くばかり降る花の影なき空に映す閑けさ」
今月の詠歌一覧
やはらかみながきをあげるおとめごのはるのしらべのたけくらべ |
さくらはな恒より永きかすみかなさりゆくみよをともに惜しむか |
花霞晴れゆくさまを惜しみては古筆を擱きて琴にゆだねむ |
時津風惜しむにあらず離りゆく人のこゝろをとゞめえざれば |
鈴屋の大人もみつるかむばたまの夜毎枕に降れる白雪 |
花々のわかれこづたひそらをみたし若きひこばゑふるへてゐたり |
とめおけぬひとのこころははなのいろk.364は沁みわたりけり |
双翼を君の眸はうつせども我や汀に沈みゆくかも |
深山より霞む大島峰見えて豆なこゝろに枝垂る江戸花 |
咲き残る枝を探してゆく街は早くも花を忘れつゝあり |
水鏡身の浮くばかり降る花の影なき空に映す閑けさ |
散るはなのまひてはそらの雲となりいまし南を指してゆくらん |
愛しとよ我にもえさせよ躑躅花にほへる里の僧とものゝふ |
お茶の葉の開くを待ちてメモ取れば明日は煎茶に椿を活けて |
今朝の茶はめも読みかえし湯を沸かしぽたぽた蒸らしうまみよぶ |
うつゝよはやがてはかなきものなれば春のこゝろは我を誘くや |
春暮れて花はむなしくなりぬれど我がみ(身・実)は肥ゆる秋さりすれば |
槌の音も君高らかに京島に常盤の棟を築きたまへや |
高窓も風にさくらのふぶきかな春送る日の空に花充つ |
青き日の聖堂の前駆けてゆく四月の氷雨濡らすおもかげ |
いでたちの朝けの巴里を君見ずて岩根踏みつゝ恋ひわたるかも |
青き日の聖堂の前駆けてゆく四月の氷雨に濡らすおもかげ |
聖堂の前響く警笛知らぬ顔フィーユをひきてギャルソンが渡る |
新聞のインキも香る土曜朝パンにバターと苺をかさね |
垂乳根の母のおはこぞ苺漬けつきて離れぬおとゝの口元 |
苺狩りこれを甘しと春の野に潰してみれば香ぞみちてとほき日とほみ垂乳根の野艸かざせる母の面影 |
葦草の間に揺れる田植唄羽つくろひつゝ夢を食むかな |
よしあしの間に揺れる世にあればよしもあしきも風にまかせて |
潮干狩りうたゝ寝すれば海鵜鳴き大潮せまる午後の閑けさ |
蒸し雲に干す白妙の夏衣風も青葉の影にゆれつゝ |
躑躅辻木槌に挙がる大棟木春南国の普請を遠見 |
春の夜の嵐やみては輝ける朝の小路ゆく稚児らゝうたし |
躑躅辻風のしるべにおく珠をたどる童の春榮えゆく |
埋れ木の賢くあればいやつぎに常盤にいます今し世に忝なくも逢ひ奉る哉 |
花雪のうつろひ積もる幾年に思ひ重ねて我沈みゆく |
タンポポの綿毛手折りて青空にふうっと一息ほら夏が来た! |
散る花に別れを惜しむ頬白の一筆啓上仕り候 |
雨のあと若葉袖引く残り花舞うもかなわず涙のごとく |
花老いて紅濃く染まる弁化粧散る花びらに何思ふらむ |
散りてなお桜さくらと歌にせばうなだれさみし白き小手毬 |
虹霓の残りし橋に浮かぶ月渡れぬ雁を渡したらばや |
潰したる苺の香り甘き乳幼き春の母とのかおり |
皐月待つ花橘の芳しく仮令散りても和の実を結び |
五月晴れ泥と戯る田の記憶苗の緑と蓬の香り |
つつましくいまにむかひてこうべたれれいのこころはひとをわとなす |
ふたたびの年のはじめを祝ふ空重ねて空の梅を咲かせて |
橋桁の空きし庵に影やあり屋(おく)を掃くなり戻る主(あるじ)は |
去年(こぞ)の秋見送る人にまみえんと喜び仕立てる揃いの燕尾 |
桜花連れ行く風に乗りて来る白き過客に春を喜び |
鳥曇(とりぐもり)空に描くや一文字涙にも見ゆふる桜花は |
春時雨光に色を誘われて佐保姫渡る橋や掛かりぬ |
絶え間なく天より落つるささめいといずこに七の色を宿すや |
あの虹のふもとに行くと駆けだせる春日に優る君の笑顔よ |
貴婦人の涙を受けし白百合やいずれの時か花を咲かさん |
生い茂る葭簀(よしず)で鳥はうたた寝る田植えの歌を夢に響かせ |
畦道に薫る蓬を摘みて来む田植え休みの餅やつくらむ |
ほおばれる蓬の餅の香をきけば時は戻れる母の隣に |
春空の霞に透る鈴の音令くて和をなし千代にふるかな |
聊かの令き言の葉を記す日の昔の園と同じ月影 |
星々の魅せる光はそのままの永き時見る瞳留めて |
うつせみの夢は星と瞬きて拡がる宙(そら)の限りなきかな |
さそはれぬ花夕暮れに眺むれば冷たき手にも薄紅の落つ |
今はまだ明日には花の白波をとゞめぬ春の川の流れや |
ゆるらかにうち吹く風に解けゆくは千鳥の淵の千々の花影 |
風にこふはな散る時はもろともに人の心に影留むらむ |
今人の無き夕暮れに秋篠の流れは留めぬ花の白雪 |
桜花春のうららに散り行きて宴の跡の水静かなり |
ゆふぐれと朝焼けのやうな令和かな令のよき意は令嬢の令 |
会終わり独り去りては出勤す誰か見てきて巴里のオペラ座 |
ゐささかの令き風にゆるこゝちかなうつすときなる錫の珠音 |
花蘂の降りて染まりし木下に鳥寄り集いうた歌うらん |
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