既視源氏物語 ~古今集恋歌の光る君~ その30「恋はまぼろし」

724「陸奥の しのぶもぢずり たれゆゑに みだれむと思ふ 我ならなくに」(源融)
725「おもふより いかにせよとか 秋風に なひくあさちの 色ことになる」(よみ人しらす)
729「色もなき 心を人に そめしより うつろはむとは おもほえなくに」(紀貫之)

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私にはなにもない

虚無という言葉さえ空しい

心のすべてを征服していた恋は

塵も残さず失せてしまった

恋をする前の自分はどんな人間だったのだろう

今となっては思い出せない

恋はまぼろし

泡沫の夢

昔のように笑える日が来るだろか

(書き手:歌僧 内田圓学)
→関連記事「既視源氏物語 ~古今集恋歌の光る君~(総集編)
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