「春霞(はるかすみ)」 ~美しい日本語の四季(その3)~

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3「春霞 たてるやいづこ みよしのの 吉野の山に 雪はふりつつ」(よみ人知らず)

春の訪れを知る代表的なもの、と聞いてあなたは何を思い浮かべますか?
多くの人は「梅」や「うぐいす」を挙げるかもしれませんね。和歌ではこれに「霞」が加わります。
雪にならないで、ぼや~と山にかかる霞をみて、いよいよ春が来た! と感じるのです。

歌では、(暦の上で)春になったのだから霞はどこにあるのだろう? まだ吉野山には雪が降っているけど…
と、まだまだ実感できない春を嘆いています。

ちなみに吉野山は桜の名所として有名ですが、古今和歌集では多く「雪の名所」として歌われています。

(書き手:歌僧 内田圓学)
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