和歌の入門教室 特別編 「古今和歌集 四季の景物一覧表」

古今和歌集の四季歌(春夏秋冬)で登場する主要な景物をリストアップし、詠み出し順に並べました。
これで四季の変化を表する対象とその流れが一目瞭然です。
また「花」「気象」「鳥獣」に分類しているので、歌を詠む際に「霧に紛れる鶯」といった取合せの間違いを犯すこともありません。

それにしても、「秋」には突出した多様性がありますね。
源氏物語に「春秋争い」(春と秋はどちらが素晴らしいか、その代名詞とされる紫の上と秋好中宮が競い合う)の場面がありますが、古今和歌集の景物数を仮に美の対象数とすると、「秋」に軍閥が上がりそうです。

※()は新古今集にみえる景物です

季節 気象 鳥獣
【春】
若菜
青柳
(よもぎ)


山吹
春風



(淡雪)
春雨
月(朧月、三日月)

(横雲)

百千鳥
呼子鳥
帰雁
かはづ
【夏】 花橘
卯の花
(葵)
(かつみ)
(夏草)
(あやめ)
(真菰)

常夏
(夕顔)
五月雨
(村雨)
(更衣)
(鵜飼船)
(篝火)
(漁火)
(夕立)
ほととぎす
(蛍)
【秋】 (荻) 稲葉

忍草
紅葉
女郎花
藤袴

撫子
(朝顔)
月草
(浅茅)
秋の草木
紅葉

秋風
七夕(星)
(夕暮れ)
(稲妻)


(砧)

時雨
山田


きりぎりす
鈴虫
松虫
ひぐらし
稲負鳥
鹿
(鶉)
(かささぎ)
【冬】 (木の葉)
(呉竹)
(笹の葉)


冬草
(時雨)
(木枯し)


(氷、つらら)
(霰)

(御狩)
(千鳥)
(駒)

(書き手:歌僧 内田圓学)

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