「妄想女子の恋歌日記」~恋顧みる1月の巻~

●1月31日
春。
新しい命が息吹く特別な季節
見るものすべてが輝いて見えた

つまんない人生も、
春になればきっと変わるって
いつも信じてた

それが私にとっての春、
だった。

彼と出会って一年、

恋が終わってみれば
私はまた、何ひとつ変わらない
つまんない人生を生きていている

近ごろようやく日差しが暖かくなって、
雪間には若菜が顔をのぞかせている

山にはまだ霞が立ち込めているけど
その奥にはもうすぐ花がほころぶ

また春がくる!

でもきっと、それは昔と同じ春じゃない

期待もしない、でも絶望もしない
ただの春がやってくるんだ

747「月やあらぬ 春や昔の 春ならぬ わが身ひとつは もとの身にして」(在原業平)


(書き手:歌僧 内田圓学)

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