「妄想女子の恋歌日記」~恋あくがるる8月の巻~

●8月7日
彼と出会って、なんだかんだでもう半年

初めての一目惚れ
ずっと遠くから憧れてた
まさか付き合えるなんて、思ってなかったけどね

不思議なのはあの頃のドキドキが
今も続いてるってこと

初めて聞いた彼の声
ずっと耳に残ってる

思い出しただけで
なんにも手につかない

481「初雁の はつかに声を 聞きしより 中空にのみ 物を思ふかな」(凡河内躬恒)

●8月10日
とくにいつ? ってことではないの
のろけるなっ! って怒られるかもだけど
四六時中、彼のこと考えているの

やばいかな!?

こんなに恋に狂っちゃうのは
きっと秋の夕暮れのせい、かな

546「いつとても 恋しからずは あらねども 秋の夕べは あやしかりけり」(よみ人知らず)

●8月10日
あ~もう!
どうして隠さなきゃいけないの!?

ちゃんと付き合ってるのに
こんなの絶対おかしいよ

花薄が穂を出すように
私だって、いつまでも思いを隠したままの
つらい恋してられないよ!

549「人めもる 我かはあやな 花すすき などか穂に出でて 恋ずしもあらむ」(よみ人知らず)

つづく…
(書き手:歌僧 内田圓学)

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