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梅雨真っ只中。
今日もシトシトと雨が降っています。
雨の日が好き、という人は少ないかもしれませんね。
ただこの「雨」は和歌ひいては日本文化を育んできた恵みの存在です。
今回は、古今和歌集にみる「雨」をご紹介しましょう。

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ひとえに「雨」といっても様々。
古今和歌集の中では、季節や降り方によって雨の名称を違えています。
「春雨」(はるさめ)
「長雨」(ながめ)
「五月雨」(さみだれ)
「時雨」(しぐれ)
※新古今になると「村雨」(むらさめ)や「夕立」(ゆふだち)なども詠まれています

これらは単に名称が違うだけでなく、そこに見える色までも違うのです。
→関連記事「雨の四季とその色

また、「雨」に類する、
「雲」、「霞」、「霧」、「露」、「雫」、「雪」、「霜」
といった言葉が入った歌を数えると、なんと約220首もあります。
これは全1,100首の2割にあたります。
「雨」が古今和歌集歌人に与えた影響力をうかがい知ることができますね。

「雨」は二つの美学を生みました。

ひとつが「涙の美学」です。
639「あけぬとて かへる道には こきたれて 雨も涙も 降りそぼちつつ」(藤原敏行)
705「数々に 思ひ思わず 問いがたみ 身をしる雨は 降りぞまされる」(在原業平)
731「かげろふの それかあらぬか 春雨の ふる日となれば 袖ぞ濡れぬる」(よみ人知らず)
782「今はとて わが身時雨に 降りぬれば 事のはさへに 移ろひにけり」(小野小町)

男も女も恥ずかしげもなく涙で袖を濡らす。
もちろんそれは歓喜の涙ではなく、一人相手を思う忍び泣きです。

もうひとつは「朧の美学」です。
479「山ざくら 霞のまより ほのかにも 見てし人こそ 恋しかりけれ」(紀貫之)
33「春霞 たてるやいづこ みよしのの よしのの山に雪はふりつつ」(よみ人知らず)
102「春霞 色のちくさに 見えつるは たなびく山の 花のかげかも」(藤原興風)
386「秋霧の 共ににたち出でて 別れなば はれぬ思ひに 恋ひやわたらむ」(平元規)

「雨」のもつ湿度によって立ち込める「霞」や「霧」、その奥に微かに佇む対象を愛でる。
高野切れ第一種に見る「かな」や長谷川等伯の「水墨画」は、これを墨の濃淡で表現したものといえますね。

和辻哲朗の著書「風土」にはこんな一文があります。
「モンスーン気候が日本人を受容的、忍従的な人間に形成した」

我々の文化は、「雨」なしには語れないようです。
→関連記事「雨の四季とその色

(書き手:内田かつひろ)

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