2745923
すっかり秋めいてきましたね。
平安歌人たちにとって秋は特別な季節です。

184「木の間より漏りくる月の影見れば 心づくしの秋はきにけり」
心づくし…心の全てを奪われてしまうのです、秋の前では。

桜一辺倒の春とは違い、秋は心奪う景物が沢山あります。
紅葉に染まる木々のようにとりどりに。

代表的なものが月、そして鮮やかな紅葉。
さらに松虫や蜩など虫の音に雁や鹿といった動物たち。
そしてなんといっても、秋といば美しい草花です。

萩、尾花(すすき)、葛、撫子、女郎花、藤袴、桔梗。
これらは「秋の七草」といわれ、万葉の時代に山上憶良が歌に詠んで以来、秋の代表的な草花になりました。
「秋の野に 咲きたる花を ゆびおり かき数ふれば 七草の花 萩の花 尾花葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 朝顔(ききょう)の花」(山上憶良)

この記事の音声配信「第九回 秋の七草を覚えよう♪」を
Youtubeで聴く
iTunes Podcastで聴く

この「秋の七草」は古今和歌集において、全て歌中に詠まれています。

女郎花:226「名に愛でて 折れるばかりぞ 女郎花 我おちにきと 人にかたるな」
尾花(すすき):243「秋の野の 草のたもとか 花すすき 穂にいでてまねく 袖と見ゆらむ」
撫子:244「我のみや あはれとおもは むきりぎりす なく夕かげの 大和撫子」
藤袴:239「なに人か きてぬきかけし 藤袴 くる秋ごとに のべをにほはす」
葛:262「ちはやふる 神のいがきに はふ葛も 秋にはあへず うつろひにけり」
萩:211「夜をさむみ 衣かりがね なくなへに 萩のしたはも うつろひにけり」

あれ、「朝顔(ききょう)の花」が見当たりませんね。
実は桔梗は簡単には見つけられない仕掛けが施してあります。

先に答えとなる歌をお見せしましょう。
447「秋ちかう のはなりにけり 白露の おけるくさはも 色かはりゆく」

パッと見ても「桔梗」はないようですが…
実はこの歌は「物名歌」なのです。
物名とは歌の中にある単語を詠み込む技法です。
ですのでよく見ると「きちかうのはな」という単語が見つかります。
これが「桔梗の花」なのです!
まあ、現代の感覚でいうと「きちかう」が「桔梗」だとは気づかないですね。

最後に秋の七草の覚え方を伝授しましょう。
「大きな服は」?
「お(みなえし)・お(ばな)・き(きょう)・な(でしこ)・ふ(じばかま)・く(ず)・は(ぎ)」です。

→関連記事「秋の大混乱、荻と萩と薄
→関連記事「とばっちりだよ女郎花

(書き手:内田かつひろ)

「写真歌会 あさぎいろ」
あなたも和歌・短歌を詠んでみませんか? 平安歌人になりきって「和歌」と四季折々の情景(写真)をご披露いただけます。
わくわく和歌ワークショップ
わくわく和歌ワークショップ

平成和歌所では文化の源泉である「和歌」を楽しむ2つのワークショップを開催しています。

①和歌のインプット
「大人のための百人一首講座」
②和歌のアウトプット
「みんな詠み人! 平成歌会♪」
和歌マニア♪ 日本文化の王道をあそび倒す!
ラジオ 和歌マニア♪

古典和歌を爆笑エンターテイメントとしてトコトン遊び倒していく番組です。 ニンマリ笑って、けっこうタメになる! 和歌DJウッチーこと「内田かつひろ」と英語講師「ろっこ(rocco)」の鋭い突っ込みでお送りします。

Youtubeで聴く iTunes Podcastで聴く