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新春を彩る花、それが「梅」です。
そして梅といえば…、そう「鶯(うぐいす)」ですね。
花札の絵柄でも見られるように、「梅と鶯」の取合せは多くの人が知る所です。
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※ちなみに上の写真は「メジロ」です

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古今和歌集の「春」に梅が詠まれた歌は21首(「花」とある表記も含む)ありますが、
そのうち6首に鶯が登場します。

古今和歌集の最大の功績は、四季を「体系化」して日本の「季節感」を確立したことです。
それを端的に見て取れるのがこの「梅と鶯」です。
→関連記事「和歌の入門教室 特別編 「古今和歌集 四季の景物一覧表」

6「春たてば 花とや見らむ 白雪の かかれる枝に うぐひすぞなく」(素性法師)
春立てば…とは立春のことです。
つまり暦の上で春となったのだから、雪を花(梅)と見て鶯が鳴いているだろうか、という歌です。

10「春やとき 花や遅きと ききわかむ うぐいすだにも 鳴かずもあるかな」(藤原言直)
春がきたのが早いのか花(梅)が咲くの遅いのか、聞いて判断しようとした鶯さえもまだ鳴かない

上の2首は「暦上の春」と「実際の春」の情景とのギャップを面白がった歌です。
ここで「実際の春」と言っているのが、当時の歌人が「体系化した春」です。

以下の歌に特徴的です
11「春きぬと 人はいへども うぐひすの なかぬかきりは あらじとそ思ふ」(壬生忠峯)
春が来た…立春となったと人が言っても、鶯が鳴かない限りはまだだと思う

これらの歌を見てわかるように、体系化された季節の上では
「鶯が鳴く」ことが「春」になることなのです。

では季節を飛びこえて、体系化した「夏」になる条件はなんでしょうか?

それは「ホトトギスが鳴く」ことです。
137「五月まつ 山ほととぎす うちはふき 今もなかなむ こそのふるこゑ」(よみ人しらず)

このように平安歌人は、季節の情景を体系化し暦上の季節と比較して歌にするという、大変高度な遊びをしていたのです。

その一方で理知的・分析的な古今和歌集の歌は、素直な詠みぶりの万葉集の歌に比べて面白くないとも言われます。
確かにそうですね。
正岡子規など明治歌人などには相当批判を受けています。
→関連記事「「歌よみに与ふる書」に与える書

ただこれは歌のもつ多面性の一つです。
理知の美学で描く耽美の世界こそ、古今和歌集の真骨頂です。

13「花の香を 風のたよりに たぐへてぞ うぐひす誘ふ しるべにはやる」(紀友則)
32「折りつれば 袖こそにほへ 梅花 有りとやここに うくひすのなく」(よみ人しらず)

梅の香をうつして鶯を誘う、なんと美しい情景でしょう!
梅と鶯のゴールデンコンビは、切っても切れない仲ですね。

と言いましたが、あの鶯、
とんでもない浮気な野郎だったのです…

鶯との取合せ、実は「梅」よりも「桜」の方が多いんです。
その数なんと8首(梅とは6首)。
108「花の散る ことやわびしき 春霞 たつたの山の うぐひすのこゑ」(藤原後蔭)

これはなんたる事実!

あいつの涙に騙されてはいけませんよ。
4「雪の内に 春はきにけり うぐひすの 凍れる涙 今やとくらむ」(二条の后)

(書き手:内田かつひろ)


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