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師でなくとも忙しいのが「師走」です。
忘年会にクリスマスなどのイベント、大掃除や帰省の準備などやること盛りだくさんです。
仕事は仕事で小売・サービス業などは大繁忙期です。これに会社の決済月が12月だったりするとぶっ倒れてしまいそうですね。

そんな時期に年賀状です。

この記事の音声配信「第12回 年賀状にオススメの和歌」を
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この日本特有のグリーティングカードが国民一般に広まったのは明治になってから。
1899年に郵便物が年末に集中することの対策として年賀郵便の特別取扱が始まり、
1949年にはお年玉付郵便はがきが発行されるようになりました。

以後、年賀状の発行枚数は爆発的に増加、ピークとなる2003年には44億枚の発行枚数となりました。
ただ最近は減少傾向で、2016年の発行枚数は30億枚だということですが、これでも単純計算して一人当たり30枚の年賀状を送っていることになります。
2016(平成28)年用年賀葉書の発行及び販売

年賀状を何十枚も手書きしていた時代の苦労はいかばかりかと察するところです。
いや、むしろ昔は年末のイベントに追われることもなく、家族みんなでコタツに入ってワイワイと書いていたのかもしれませんけどね。

さて、多忙な現代人を支えてくれるのがパソコンやスマホです。
住所録さえ作ってしまえば、あとはお仕着せのテンプレートを使って印刷すれば完成です。

あ~、なんて楽なんだ。
ありがとう、技術革新!

しかし。気持ちよく年始を迎え、友人からの年賀状を眺めると、、
なんだか寂しい

「年賀状 もらったぶんも テンプレート」
せめて一筆ほしいと、他人に対しては望んでしまうものです

今年はもらう立場になって、一筆書いてみましょう!
何も書くことがない、とお困りの方、
ありますよ、そこに和歌が!

というわけで、年賀状におすすめの和歌を古今和歌集から選んでみました。

#まず間違いのはこれ。
大歌所御歌にある一首です。
1069「あたらしき 年の始に かくしこそ 千歳をかねて たのしきをつめ」(よみ人しらす)
Happy New Year! 千年も先取りして楽しい(楽し木)を積んじゃおうぜ!

#次いで「賀歌」から。
賀歌の多くは長寿を祝う歌ですが、年賀状にも使えます。
352「春くれば 宿にまづさく 梅花 君が千歳の かざしとぞ見る」(紀貫之)
356「よろづ世を 松にそ君を 祝ひつる 千歳のかげに すまむと思へば」(素性法師)
357「春日野に 若菜つみつつ よろづ世を 祝ふ心は 神ぞしるらむ」(素性法師)

#さらに「春歌」から。
新春の美しい情景が広がります。
2「袖ひぢて むすびし水の こほれるを 春立つけふの 風やとくらむ」(紀貫之)
4「雪の内に 春はきにけり うぐひすの こほれる涙 今やとくらむ」(よみ人しらす)
6「春たては 花とや見らむ 白雪の かかれる枝に うぐひすそなく」(素性法師)
13「花の香を 風のたよりに たくへてぞ うぐひす誘ふ しるべにはやる」(紀友則)
21「君がため 春ののにいでて 若菜つむ わが衣手に 雪はふりつつ」(光孝院)
24「ときはなる 松のみどりも 春くれば 今ひとしほの 色まさりけり」(源宗于)

#もし相手が和歌に精通していたら、こんな和歌はいかがしましょう。
456「浪のおとの 今朝からことに きこゆるは 春のしらべや 改るらむ」(安倍清行)
これは「物名歌」で、「からこと」に「唐琴」が詠み込まれています。

#お互いが老骨に鞭打つ間柄だったら、こんな和歌はどうでしょう。
8「春の日の 光にあたる 我なれど かしらの雪と なるぞわびしき」(文屋康秀)
28「ももちどり さへづる春は 物ごとに あらたまれども 我ぞふり行く」(よみ人しらす)
経年の皮肉に笑顔も混じります。

#ラブレターは気恥ずかしいという貴方、この機会に、年賀に恋心を込めてみてはいかがでしょう
542「春たては きゆる氷の のこりなく 君が心は 我にとけなむ」(よみ人しらす)
596「年をへて きえぬ思ひは 有りなから よるのたもとは 猶こほりけり」(紀友則)
605「手もふれて 月日へにける しらま弓 おきふしよるは いこそねられね」(紀貫之)
684「春霞 たなひく山の さくら花 見れどもあかぬ 君にもあるかな」(紀友則)
747「月やあらぬ 春や昔の 春ならぬ わか身ひとつは もとの身にして」(在原業平)

たったみそひともじ(三十一文字)です。
一筆したためてみましょう(と、自分に言い聞かせてみる)

(書き手:内田かつひろ)


古今伝授と茶飲み連歌会
 
集まれ数寄者! 「はじめての古今伝授と茶飲み連歌会」

平成和歌所では、誰でも歌を楽しめる茶飲み連歌会を開催しています! 数寄に通じている人も、初心者の方も、誰もが楽しめる歌会です。一緒に風雅の誠を探求しましょう!


 
「四季を味わうルールブック」~古今和歌集で知る日本文化の基本~

「日本は四季が素晴らしい! 」なんて言葉をよく聞きます。
ではその素晴らしい四季、みなさん堪能していますか?
おそらく大半の方は、春の「お花見」、秋の「紅葉狩り」を楽しむ程度に終始しているかと思います。
しかし本来、日本の四季はもっと多様でもっと深く味わえるものなのです。
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みなさんが日本の四季を十分に味わえていないのには理由があります。
それは四季ひいては日本文化を鑑賞するための「ルールを知らない」のです。
そして他ならぬこのルールブックこそが「古今和歌集」なのです。

本書では古今和歌集の四季(春夏秋冬)歌に焦点を絞り、分かりやすく解説しています。
これをご覧いただき、日本の四季を堪能するための「基本ルール」を身に付けていただければ幸いです。


 
書籍版「百人一首の歌人列伝」

平成和歌所から本が出ました。その名も「百人一首の歌人列伝」!
百人一首は歌ではなく「歌人を楽しむ」ものです。厳選した百人一首二十歌人の面白エピソードと代表歌をぜひ知ってください。
これを読めば「はるか昔にいた正体不明のオジサン」だった歌人たちが、グッと身近に感じられることでしょう。
そして本書を読み終わった後、あらためて百人一首を一番から眺めてみてください。
王朝の歴史絵巻が紐解かれ、つまらなかったあの百首歌たちが息吹を宿し、断然おもしろく感じられるはずです。