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今回は少々デリケートな問題に足を踏み入れたいと思います。
「君が代」です。

「君が代は 千代に八千代に さざれ石の 巌となりて 苔のむすまで」
言わずと知れた日本国の国歌です。

デリケートな問題というのは、君が代の「起立斉唱問題」です。
君が代は「大日本帝国時代の国歌であり、歌詞は国体護持の意味合いが強い」ということから、君が代の斉唱を反対する運動が起きています。

でも君が代の「君」は本当に天皇を指しているのでしょうか?
また歌の内容は国体護持なのでしょうか?

君が代の歌詞は、古今和歌集の「賀歌」が元になっています。
「賀部」の冒頭
343「わが君は 千代に八千代に さざれ石の 巌となりて 苔のむすまで」(よみ人しらす)

そもそも「賀歌」は、誰に向けた祝賀なのでしょう?
古今和歌集は「勅撰和歌集」ですから、天皇に向けた祝賀がほとんどだろうと思えます。

しかし!
賀歌22首の内容、詞書をみても、天皇に向けた祝賀であると特定できる歌は一切ないのです。
なおかつ祝いの内容は末永い国体の繁栄などではなく誕生の賀が大半。
しかもその対象者が本康親王(仁明天皇の皇子)と尚侍の右大将(藤原定国)という奇妙なアンバランス。

つまり「賀歌」の本質は、親しい人へのバースデーソングなのです。
君が代の君は「天皇ではない」と言い切れないまでも、天皇である可能性は薄く、
かつ国体護持というような内容を含んでいる可能性はほとんどない!
ということです。
→関連記事「賀歌 ~日本人のバースデーソング~

ですから君が代の斉唱を反対している皆様、安心してください!
と、言いたいところですが、事はそんなに簡単ではないようです。

平成11年に施行された「国旗及び国歌に関する法律」によると、君が代の「(「君」とは)『日本国憲法下では、日本国及び日本国民統合の象徴であり、その地位が主権の存する国民の総意に基づく天皇のことを指す』(出典:wikipedia)」と明言されているようなのです。
これでは歌のルーツをいくら探ってみても、もはや無意味です。

思えばあの仰々しくて重厚感のある伴奏が人を遠ざけるのかもしれません。
いっそアップテンポの平成リミックスVerでも出してみてはどうでしょうか。

(書き手:内田かつひろ)


 
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