「秋風」と聞いて、あなたはどんなイメージを抱きますか?

薄を揺らす柔らかい風
紅葉を落とす、冷たい風

人それぞれ多様な「秋風」があると思いますが、
末枯れた季節に吹く風は、他の季節とは違う感傷を誘います。
また「秋」は「飽き」に掛けられ、言葉自体が悲壮感を持ち合わせています。
と聞くと、日本人だけが「秋風」に特別な感傷を寄せているのか、といえばそうではありません。

フランスの詩人、ポール・ヴェルレーヌの「秋の歌」では、
秋風の音をバイオリンの啜り音に例えるという、切なさがありながらも雅な世界を描いています。
秋風は「体に凍みる」より「心に沁みる」というのは世界共通なのかもしれませんね。
Les sanglots longs
Des violons
De l’automne
Blessent mon coeur
D’une langueur
Monotone.

秋風の
ヴィオロンの
節ながき啜泣
もの憂き哀しみに
わが魂を
痛ましむ。
(堀口大學訳)

ただ日本の歌人は、もっと先鋭的に「秋風」を感じ取っていたように思えます。
芭蕉の俳句
「石山の 石より白し 秋の風」
では、秋の風に「白色」を見ています。
俳句の世界では、秋風を白風と言ってきたそうです。

そしてこのルーツだと私が思うのが、藤原定家の
「白妙の袖の別れに露落ちて 身にしむ色の秋風ぞ吹く」

常識的に風を感じるのは、体感もしくは聴感であると思います。
それがこの歌では、「秋風」に色を見ているのです。
風に色を感じる。
この共感覚は、優れた感受性がなければ出来ない表現できないでしょう。

定家は新古今時代の歌人です。
この時代は歌の新風が吹き起り、定家だけでなく多くの歌人が共感覚に富んだ歌を残しましたが、
その萌芽は、既に古今和歌集に見られます。
290「吹く風の色のちくさに見えつるは 秋の木の葉のちれはなりけり」

この鋭い感受性は、季節の個性がはっきりしている日本だからこそ、生まれ得たものかもしれませんね。
そしてこの感受性こそ、最も大切にしていきたい日本文化です。

(書き手:内田かつひろ)
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