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秋の草花といえば、やはり「秋の七草」ですよね。
萩、尾花(すすき)、葛、撫子、女郎花、藤袴、桔梗。
→関連記事「秋の七草

その中でも代表格といえば?
一般的には萩や尾花の声が上がりそうですが…
→関連記事「秋の大混乱、荻と萩と薄(尾花)

なんと、古今和歌集的秋の七草の代表は
「女郎花(おみなえし)」なんです!

秋上部に「萩」の歌は11首ありますが、「女郎花」はそれ以上の13首も詠まれています。
もちろん七草の中でも最多ですし、秋部上全80首中の13首を占めるんですから、女郎花への関心は相当高かったといえます。


この記事をPodcastで聞く!「第九回 秋の七草を覚えよう♪」


そしてこの女郎花、歌中での扱われ方が少し異様なんです。
例えば…

226「名に愛でて 折れるばかりぞ 女郎花 我落ちにきと 人に語るな」(僧正遍昭)
その名前に惹かれて手折っただけだ。間違っても俺が堕落したなんて絶対人に言うなよ!!

227「女郎花 憂しと見つつぞ 行きすぐる 男山にし 立てりと思へば」(布留今道)
うわ、女郎花だ! 最悪だぜ…と思いながら行く。なぜって女が男山に立ってんだぜ!

229「女郎花 多かる野辺に 宿りせば あやなくあだの 名をや立ちなむ」(小野美材)
女郎花が沢山咲いている野辺で寝てでもしたら、つまんねぇ噂が立っちまうぜ

230「女郎花 秋の野風に うちなひき 心ひとつを 誰によすらむ」(藤原時平)
女郎花さんよぉ、秋の風にフラフラとなびいているようだが、いったい本命は誰なんでしょうねぇ~?

どうですか。
いつもは草花に優しく触れていた歌人達が、女郎花となると目の色が変わったようにぞんざいに扱っているように思えませんか?

ちなみにいつもの調子で詠むとこんな感じです。
232「たが秋に あらぬものゆゑ 女郎花 なぞ色に出でて まだき移ろふ」(紀貫之)
飽きられたわけでもないのに、なぜこんなにも早く色褪せてしまうのか?

236「一人のみ 眺めむよりは 女郎花 我が住む宿に 植えて見ましを」(壬生忠峯)
一人で物思いしているよりは、女郎花をうちの家に植えてみたいなぁ

確かに「女郎花」です。
言葉遊びを楽しむ和歌では、その花を「女」に例えて当然でしょう。

しかし! この女郎花に対する感情の変化には驚きます。
まるで忍び偲んでいた日頃の鬱憤を八つ当たりしているよう…

その名のせいで、思わぬとばっちりを受けている女郎花なのでした。

(書き手:内田かつひろ)


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