●9月16日(あした~ゆふ)
有明月の下、彼が
「今夜も来るよ!」
って別れてから、別れた瞬間から、
彼に会いたくて、寂しくて
気がつくと泣いている

もう夕方、
ひぐらしが鳴いている

もうすぐ会えるよね?

771「今こむと 言ひて別れし 朝より 思ひくらしの 音をのみぞなく」(僧正遍照)

●9月16日(よもすがら)
秋の夜って不思議。

彼と一緒の夜は、あっという間に時間が過ぎて
「秋の夜長」なんて名前ばかりね、って思うんだけど

彼と別々の夜は、ほんっとに長く感じて
「秋の夜長」とはよく言ったものだわ、って感心しちゃう。

でもこれ、問題は秋の夜じゃなくて彼の方にあるのよね
知ってた?

実は私、今分かったの
まだ来ない、彼を待っている今夜は
時間が止まってるくらい、絶望的に長く感じる

636「長しとも 思ひぞはてぬ 昔より 逢ふ人からの 秋の夜なれば」(凡河内躬恒)

●9月17日(あけぼの)
LINEじゃ、
「今行く、今行く」って
何度も返事くれたのに。

私、信じて一晩中待ってた
絶望的な時間は、それでも動いていて
西の空には昨日とおんなじ有明月が浮かんでる

別にあんたのこと待ってたんじゃないよ
だから優しい顔で、惨めな私を見ないでよ!

691「今こむと 言ひしばかりに 長月の 有明の月を 待ち出でつるかな」(素性法師)

つづく…
(書き手:内田かつひろ)

「妄想女子の恋歌日記」一覧

この記事の音声配信「第42回 妄想女子の恋歌日記(恋いざよふ9月の巻)」を
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古今伝授と茶飲み連歌会
 
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