和歌における恋のテーマ・歌題その6「憚人目恋(ひとめをはばかるこひ)」

「憚人目恋(ひとめをはばかるこひ)」とは、何らかの理由で恋人と会うことに差し障りが生じてしまった、その苦悩を詠んだ歌です。愛しい人と会えないという状況は「不遇恋」と変わらないのですが、「憚人目恋」はすでに逢瀬を遂げた、結...

和歌における恋のテーマ・歌題その5「不遇恋(あはざるこひ)」

「不遇恋(あはざるこひ)」は恋しい人に逢うことが出来ないことやその辛さを詠んだ歌です。歌の心情としては現代人にも通じますから、詠みやすい歌題といえるでしょう。ただ辛さで涙にぬれることを「袖や袂」で表したりするのが古典の常...

和歌における恋のテーマ・歌題その4「後朝恋(きぬぎぬのこひ)」

「後朝恋(きぬぎぬのこひ)」は極めて和歌らしい歌題です。当時の恋愛はいわゆる「通い婚」が基本で、夜になると男が女の家を訪ね、翌朝になると男は自分の家へ帰るのでした。夜の間は男女二人の衣服を重ね掛けて共寝をしたのが、翌朝各...

和歌における恋のテーマ・歌題その3「初逢恋(はじめてあふこひ)」

「初逢恋(はじめてあふこひ)」は、長く思い続けた人と初めて契りを結ぶことを内容としています。ここに恋は絶頂を迎えるのですが、和歌で花の盛りがほとんど詠まれないように、恋においてもはじめて結ばれた喜びを詠むというより、これ...

和歌における恋のテーマ・歌題その2「忍恋(しのぶこひ)」

「忍恋(しのぶこひ)」とは恋の初期段階における心で、恋する相手に知らせず、また周囲にも知られずに、密かに自分の中にだけ思いをとどめおく恋のことです。これは恋愛における男性の基本態度、いわゆる恋の「男歌」となります。一方で...

和歌における恋のテーマ・歌題その1「初恋(はじめたるこひ)」

「初恋」は「はつこひ」ではなく「はじめたるこひ」と読みます。すなわち『人生初めての恋』にかぎらず、ある人物との『恋の最初の段階』で詠まれるのが「初恋」の歌ということになります。たとえば、心に芽生えた淡い思いを詠んだ歌、そ...

現代に「和歌」を詠む意味とは?

近年、「令和の短歌ブーム」だそうです。ある記事には『若い世代がポップな言葉で自ら歌を詠み、SNSに投稿する人が増加』と書いてありました。しかし、これはあくまでも「短歌」であって、「和歌」は変わらず『埋もれ木の人知れぬこと...

和歌とは? 「美を志向する、大和の音楽(みんなで仲むつまじく)」である

和歌とは何か? このざっくりとした質問に、ざっくりとお答えいたしましょう。 実のところ「和歌」は、このネーミングに主旨が端的に言い表されています。「和」は「やまと(大和・日本)」です。本来的には「歌」でよかったところを、...